乳白化–ブルーミング–

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塗装作業でこの現象を経験したのが、30数年ほど前でした。

当時は、工場は新座市にあり、レントゲンカセットケースの塗装に使う塗料で起きました。

表面にはビニールシートが施され、高温(160度程度)の焼付ができず、低温焼付タイプの塗料を使ったことが起因していました。

現象としては、塗膜表面にまだら状に白濁するのです。

当初、原因がわからず、塗り方の問題との見解も出ましたが、作業者の1人が被塗物を温める事でその現象を抑えることができました。

しかし、それでは作業性が悪いので、対策方法を模索する中、塗料屋に相談した時判明しました。

 

それは塗料の特性が原因でした。

基本的には常温でも乾燥する塗料、乾燥を促すために100度、20分ほどで焼付。

そのために、シンナーの揮発が速くその時の気化熱で水分が析出して塗膜に乗ってしまうためでした。

作業環境の湿度が高いと起きるのです。

対策として、遅乾性のシンナー「リターダー」を添加して揮発を遅らせる事で解決できました。

 

 当社の事例のほかにもいろいろとあるのではと、東京都立産業技術センター、デザイングループ担当者にお話を伺ったところ、

乳白化、白濁について年に2、3件相談を受けるケースがあるそうです。

当社の事例は塗装時に起こる現象、相談を受けたケースは経時変化によるもので「水」「湿気」が塗膜に入って起きるものもあるそうです。

木工塗装の分野によくあり、木材であるために高温焼付が出来ないこともその一因と教えてくれました。

対処法は塗膜を削って塗り直す事だそうです。

 

 技術資料によれば下記のように説明しています。

「乳白化 Blooming=ブルーミング、花咲現象

塗膜表面に乳白色の曇りを生じる油性塗料特有の現象で、白い粉をふいたような状態(花咲き)になって現れる。過剰の乾燥剤を添加した場合、乾燥不十分な状態で重ね塗りしたり、十分乾かないうちに水、湿気、気体と接触すると発生する。特殊な場合として、トルイジンレッドのような有機顔料を含むラッカー類においては、顔料の一部が溶剤に溶解し、乾燥後の塗面にその顔料が析出し、花咲現象を呈する。」

 

 他の資料では次のように、

「かぶり Blushing

現象

塗料の乾燥工程で起こる塗膜の白化現象、溶剤の蒸気で空気が冷やされ、その結果、凝縮した水分が塗料の表層に侵入し、または溶剤の蒸発中に混合溶剤間の溶解力の均衡が失われて、塗膜成分のどれかが析出するために起こる。高温でも起るものをmoisture blushingといい、セルロース誘導体が析出することをcotton blushingといい、樹脂が析出することをgum blushingという。

原因

低沸騰点溶剤を多く含む揮発乾燥系塗料によく見られる現象で、ブルーミングともいわれる。

a) 塗装環境が高温多湿のため

b) シンナーの揮発が速い

c) 空気圧を高くして吹き付けた時

対策

a) 高湿度のとき塗装をさけ、被塗物を加熱する

b) リターダーやノンブラッシングを添加して、シンナーの揮発性を調節する

c) 空気圧を低くし、寒冷のときの吹付塗装を避ける。」

当社の事例は、この資料から判断すると「ブラッシング」ともいわれる現象に該当しているようです。

当社は金属焼付塗装が主ですが、塗装分野はすそ野が広く、いろいろと塗装トラブルがあるのでしょう。

専門書には経験のしたことがないたくさんの事例が載っています。

 

参考文献

塗料用語辞典 (社) 色材協会編 技報堂出版

塗装・塗膜クレーム 企画 塗装クレーム対象研究会 出版 経営開発センター出版部

 

 

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