2月中旬にご依頼が有った「ライツ・ビューファインダーフレーム」が仕上がりました。
作業の合間を使って塗装仕様の検討をしながらの取り組みとなりました。
ご依頼を受けるにあたって、こちらから条件をだしそれを自身でやる約束で受注しました。
その条件とは、マスキング張、はがしをやってもらう事。
なんと言っても、今では生産されていない貴重・高価な21㎜広角ビューファインダーフレーム、レンズなどに傷などつけるなどしたら補償しかねる問題が起きることが予想されたからです。
ご依頼主も納得され担当して貰う事に。
早速、マスキングテープ送り、作業して貰う事に。
此方は塗膜性能が要望される品質が出せるか塗料選定、2液型塗料を採用。
塗布する面積がとても狭いこともあり、使用する塗装ガンはピースガンとしました。
黒アルマイトが剥げている部分だけの塗装依頼、通常のガンでは塗布できません。
写真で観ての通り、外側とレンズ面だけをマスキングするのですが、案の定失敗してレンズに傷をつけレンズ研磨屋さん見つけて、レンズを外し磨き直し。
外した状態でマスキングをして持ってきました。
塗装前に、テストピースで試験。
1 マスキングテープ、乾燥後はがして見切りが綺麗に出るか。
2 耐溶剤性は。
3 塗膜硬度は。
1に関しては、15ミクロンが綺麗に出た。
2に関しては、アルコールでラビング検証。
3に関しては親指の爪で確認。
ご報告して了解得て塗装しました。
3ヶ日後に手渡すことに。
当日午後2時ごろ来社、お互いにマスキング剥がしが綺麗に出来るかと不安を抱きながらご依頼主が持ってきたピンセットで剥がしにかかります。
外側は無難にはがれ、いよいよレンズの部位、ピンセットで抉るのですが上手くはがれません。
何度か試すうちに角がハガレ、その一端をつまんで剥がすと綺麗に取れました。
お互い目を見合わせて「ホット」する。
剥がしたマスキングテープとともに撮影、はがした後に全くのりが残っていなかったのでマスキングの出来栄えに満足しました。
マスキングの状態は出来映えが良く、建築士の職業柄手先が器用なようで!!
ご依頼主、何度か失敗しながらも仕上げた結果綺麗にはがれました。
塗装面の仕上がりをみて大満足のご様子でした。
何軒も電話し断れながらもやっと見つけた塗装屋だったそうです。
それだけに、感謝の言葉も精一杯の表現をしてくれたので、やって上げたことに満足でした。
喜ばれるのはやはり「いい気持ち」でした。
ご依頼主さんは写真家として作品をHPで披露しています。
デジタルカメラの映像とは一味違うアナログ(銀塩フィルム)写真です。
フジックス 社長 上野恒暉様、
今年2月にお願いした ビュウファインダーの再塗装が出来上がりました。上野社長様そしてフジックスというこの会社でなければ,今回のビュウファインダーの再塗装は不可能だったと思っています。私のようなもののいうことを熱心にきいてくださった社長様には何とお礼をすればいいのか感謝の言葉が見つかりません。大変聡明な方で仕事以外の教養の高さにも感動いたしました。ファインダーの仕上がりのすばらしさはみなさんにみて頂きたい程で,人生のしやわせは,人との出会いにあるのだと再認識いたしました。
これから再研磨されたフロントレンズを入れるのですが、全ての行程が終了しましたら,大変御多忙の社長様を再度訪ね完成したファインダーをみて頂きたいと思っております。この場を御借りして,お礼を申したく存じます。社長様,そしてフジックスの皆さん,本当にありがとうございました。このファインダーは,世界にただ一つです。末永く大切にしていこうと自分に思い聞かせている今日です。近日レンズを入れて頂くのですがファインダーの塗装が完璧なので,安心しております。
フジックスの社長様 そしてフジックスの皆さん,再度お礼申し上げます。
敬具
NoBu
NoBuさん、過分な感謝の言葉、コメントでお寄せいただき有難うございます。
ご相談を受けてご要望をお受けしましたが、ちょっと面倒になるのではと感じたのですが、貴方の強い思いに押される形となりました。何せ塗布面積が少ないこと、マスキングなど作業、塗膜性能などを検証する必要がありました。フレームエッジ部のメッキがはがれている程度であればマジックでいいのではというと、正確な修理を施したいという言葉、ビューファインダーに寄せる思いを理解し取り組みました。後世まで残すためにといい塗装をという気持ちに感動しました。貴重な経験させていただき有難うございました。