クラシックランプ台 もどり現象

今回、この現象を取り上げたのは、最近経験した事例なので。

50年勤めている職人がいますが、初めてとか。

切っ掛けとは、電話での問い合わせから始まりました。HPを2006年から開設しましたが、徐々に個人からの塗装依頼がある様になりました。量産型での塗装が主ですが「是非」といわれるケースもあり折り合いが付けば受けるようになりました。

その問い合わせ「ランプの再塗装依頼」でした。以前にも照明器具の塗装は手掛けていたので受けることにしたのですが、

 

その製品がこれ!

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現物を観ましょうということで、来社して頂きましたが、説明の通り。どんな塗装なのですがと聞いても何せフランスから買ったもの、ましてネットからですから詳しく知るわけもなかったのです。

※(後で分かった事ですが、古い時代のランプ、焼付塗装はされていないと依頼主に説明を受けました。当方としては焼付塗装専門でしたので、先入観もありその点に目が向かなかったようです。剥離作業でその点も見えてくると思いますが。)

 

その時の推察では2液型で配合比の間違えか、焼付不良かなどと考えたのですが、とりあえず預かり作業進める中で原因が見て来ました。

その調査に役立ったのが昭和55年1月30日発行の技術書、「塗装・塗膜クレーム(発生原因その対策)総合技術資料集でした。

こう記されています。

4-6 もどり

(1)現象

硬化した塗膜が軟化して粘着性をおびること。

(2) 分類

① 塗料としては熱硬化性塗料ではほとんどなく(アミノアルキド樹脂で尿素樹脂変性は高温時に使用量によっては、起ることがある)油性系塗料に多い。顔料の中でもカーボンの吸着、またドライアーの過剰添加でのもどりがある。使用溶剤としては、つけ塗り塗料で蒸発速度のおそいデカリンなどは表面層が乾いて内部の溶剤の拡散がさまたげられ、もどりの現象がおきることがある。

② 塗装条件として厚塗りで塗装したり、油性系塗料を低温で乾燥させ、これを日光下に出したりするとおこることがある。

③ 被塗物として木工用塗料の場合は一般に低融点の天然樹脂を用いた塗膜を研磨するとき、熱と圧力でおこることがある。

アルカリ性のコンクリート素材に油性系の塗料を塗ったりすると、もどりの原因となる。

プラスチックの塗装では、素材に含まれる可塑剤の移行性からのもどりに注意を要する。

またニトロセルロースラッカーなどど可塑剤を含む塩ビフィルムの接触によるもどりなどがある。

以上

この記述から、推察するに油性系の塗料が使われたと思われますが。

焼付塗装専門で、53年目初めてのトラブルです。

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